Dream1
Act.2 最強・家庭教師陣
9代目と面会した翌日、早速家庭教師を紹介された。主に戦闘だが、イタリア語やその他勉強面も教えてくれるそうだ。
葵は“マフィア”の家庭教師像を崩されることになるのだった。
「ちゃおっす」
「…お前が沢田葵か」
「ガキだな、コラ」
三人の赤ん坊がいた。
黒スーツのモミアゲがカールしている男の子と、ゴーグルを頭に乗せたマントを羽織っている女の子と、アーミースタイルの背中に武器を背負った男の子。
葵は一度目を擦る。
「……人類?」
「言うに事欠いてそれか」
黒スーツの赤ん坊が鋭いツッコミを入れる。
「お前も年のわりに口達者だろ、コラ」
「フン、オレはへこたれない奴なら何でもいい」
葵はじっと三人を見つめ、フーッと息を吐いた。
「――改めて、わたしは沢田葵です。これからよろしくお願いします」
“家庭教師”として認め、頭を下げると三人は驚いていた。
「(こいつ、オレ達の力を見極めやがった)」
ニイッと笑った赤ん坊は前へ進み出た。
「オレは最強のヒットマン、リボーンだ。イタリア語やその他勉強面、マフィアのことを教えてやるぞ」
葵はしゃがんでその小さな手と握手した。その時密かにほっぺたに触りたいと思ったのは持ち前のポーカーフェースで綺麗に隠した。
「オレはボンゴレ門外顧問所属のラル・ミルチ。お前に格闘技を教える。…オレは厳しいからな、へこたれる奴は捨てていくぞ」
辛辣な言葉にも動じず、葵はコクリと頷いた。
驚いている彼女の後ろから、金髪のアーミースタイルな赤ん坊が出てくる。
「オレは元イタリア海軍潜水奇襲部隊COMSUBIN《コムスビン》隊員のコロネロだ。主に銃火器の使い方や実戦向けの戦術を教えるぞ、コラ。ついて来いよ!」
体にそぐわぬライフルを突き付ける彼にもペコリと頭を下げて、しゃがんでいた体を起こした。
「一応これが一週間のスケジュールだ。これを基準にしていくから持っておけ」
リボーンに渡された紙には、朝7時から夕方の5時までびっしりと埋まった修業内容があった。
4才児にさせる内容だろうか…と内心思いつつも、逆らえそうにないので大事にそれをポケットに仕舞った。
「明日から修業は行うから今日はしっかり休んでおけよ!倒れてもオレは知らんからな!!」
「素直じゃねえな、ラルは」
「なっ、コロネロ!オレは別に…っ」
じゃれあっている二人を無視して、リボーンは葵の肩に飛び乗った。
「…日本に帰れるかどうかはお前次第だからな」
「―――!うん、わかってるよ」
その言葉にニヤリと笑い、リボーンは肩から降りて自信に満ちた口調で言った。
「まあ、オレが鍛えてやるんだ。絶対お前は強くなるぞ」
小さなヒットマンの背中が大きく見えて、葵はクスリと笑みを零したのであった。
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