[携帯モード] [URL送信]

Dream1
Act.1 ボンゴレ9代目


日本からイタリアへ到着し、家光と葵は黒塗りベンツへて乗り込んだ。さすがマフィアというところで、先程の飛行機もボンゴレ専用機らしい。



「(防弾ガラスか…)」


コンコンと窓を叩いて普通のガラスより強度があるのを確認すると、葵はその身をソファ並にふかふかとした座席に預けた。

隣で父がイタリア語(前世で少しかじっていたのでわかる)で誰かと連絡をとっていた。
ちなみに飛行機の中で彼はオレンジのつなぎ服から黒のスーツへ、葵も黒いワンピースに着替えていた。




車が走行をやめ、葵側の扉が開けられた。運転手に手を借りて(背が低いので一人で降りるのは危険だと思われたらしい)外へ出ると、目前の建物に圧倒された。


「これは…」

「我らがボンゴレ9代目ボスが住まうボンゴレ本部だ」


【壮観】という言葉がぴったりの城だった。



家光とおそらく彼の部下二人と共に広い庭を歩いて行く。かなり整備が行き届いていて綺麗である。こんなところで読書したいと、葵はこの後くることから逃避していた。

荘厳な扉(片方何sあるのか)を部下の二人が開け、長い赤絨毯が敷かれた廊下を家光が先導して歩いて行く。
5分ほど歩いたところでエレベーターに乗った。表示されているのは8階だった。


――チン…



静かに扉が開くと、再び沈黙を保ったまみ歩いて行く。一際大きな扉の前に着くと、家光は姿勢を正してノックする。


「どうぞ、入りなさい」

「はい、失礼します」


聞こえてきた声は思いの外優しいもので、葵は首を傾げた。


――ギイィィ


ゆっくりと開かれた扉の先にいたのは、柔和な表情の老人だった。その優しげな眼差しに葵は構えていた体の力が抜けるのを感じた。


「やあ、よく来てくれたね。歓迎するよ葵ちゃん」


ペコリと頭を下げると、おいでおいでと手招きされた。チラリと家光を見ると頷くのでスタスタと彼の元へ行った。


「久しぶり…と言っても覚えていないかな?」


「いえ、一度家でお会いしました」


ハキハキと答えると、彼は一瞬驚きに目を見張り、しかしすぐに柔らかく笑った。齢4歳の子供がこのような口振りをするのに、この人物は簡単に受け入れてしまった。


「家光の言っていた通りとても賢い子だね。――改めて、私はボンゴレ9代目だ。よろしく」

「(父さん…)沢田葵と申します。こちらこそよろしくお願いします」


今度こそ後ろに居る家光の部下達が驚いて動揺を見せ、家光は満足そうに微笑む。




こうして、イタリア最大のマフィア・ボンゴレのボスとの対面は終わった。

葵はこれより本格的なマフィアの修業に入る。それを、9代目が申し訳なさそうに見つめていたことは彼女は知らない。





[次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!