短編夢
心奪われていたのはどちらでしょう?(赤司/女主)
※黒子がww使ってるので注意。
私は嫌われているのだろうか。
「邪魔だよ、どいて」
『ああ...ゴメン』
赤司くんに。
別に、まだ通路に余裕あったじゃん!
面倒くさい人だと思いつつも、この学校で既に色々と権力を持っているこの人に、逆らいたいとも思わない。
ビバ平穏な生活。
日誌を書くので居残っていた私は、早く帰りたくて仕方ない。
赤司くんも部活行けばいいに。
「君は簡単に自分が悪くもないのに、謝罪の言葉を言うんだな」
はぁぁ!?ぶっ飛ばしたい!
しかし、耐えろ、自分。
今までの我慢が水の泡だ。
『はあ...そういう性分なもので。』
「......」
「あ、藍沢さん」
『黒子くん!どうしたの?』
「お借りしてた本、返しにきました」
『どうだった?』
「まさか犯人があの人だとは思いませんでしたね。でも動機もトリックもしっかりしていて、読後は爽快感すらありました。面白かったです、ありがとうございました」
普段あまり喋らない黒子くんだが、本のことになると饒舌になるみたいだ。
図書室で意気投合してからはたまに漫画を含め、本の貸し借りをしてみたり。
『良かった〜。黒子くんも面白い本あったらまた貸してね!』
「是非。...あれ、赤司くん。どうしたんですか怖い顔をして」
あ、そういえば赤司くんと黒子くんは、同じ部活だっけ。
「別に怖い顔なんてしてないよ。ああ、藍沢ちょっとどいてもらえるかな」
何か割り込んできた。
『どーぞ』
「...お二人、仲が悪いんですか?」
『んー、何か突っかかってくるの。どうにかして』
こそりと黒子くんに呟いた。
「そうなんですか?赤司くん」
聞くなよ。
「やだなぁ...藍沢、後で話し合おう。」
『お断りしますね』
「はぁ?」
「(本より面白い展開きましたね)」
黒子くんが若干にやにやしてるのが腹立たしい。
君はやっぱり赤司くんの部活の子だよ!
『今まで黙ってたけど、赤司くん小さい子供みたいに構って攻撃ってないわ』
「ブフォ!」
真顔で黒子くんが吹き出した。
「お前...」
『もう面倒くさいからさ、何か気に入らないのかちゃんと言ってよ』
「赤司くん、君って素直になれないタイプの人だったんですね。頑張って下さい、先に部活行ってます。藍沢さん、日が短くなったので気をつけて帰ってくださいね」
薄く笑った黒子くんは、そのまま消えるように去っていった。
流れる沈黙。
「少し、いいか」
それを破ったのは赤司くん。
『...うん』
「そんなに俺の態度は気に障るか」
『...まあ、理由もわからず他の女子より冷たい態度取るからね』
いつも他の女子には中学生かと思うくらい紳士的なのに。
「気づいてくれないか。あの心理だ」
『あの心理?』
「小学生が好きな子に意地悪したくなるような...」
『ああ......えぇぇぇ!?あか、赤司くんが、私を』
「好きだ」
ちょっと待って、頭が追い付かない。
「もう、こうなったらしょうがないかな。俺相手でも物怖じしない君が好きだよ」
開き直ったのだろうか。
もう先ほどまでの意地悪な赤司くんはいなくて。
「ねえ、遊羽の顔が赤いのは夕焼けのせいかな?それとも...脈ありだと思ってもいいのか?」
もう夕焼けなんて視界に入ってなかった。
だって、こんなに近くに。
鮮やかな赤。
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