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短編夢
俺が待ってても君は待たないだろう(赤司/男主/受主)
「お久しぶりです。」

赤い髪をした美少年に、そう話しかけられた。

しかしこんな美少年、知り合いにいたか。


「・・・もしかして覚えてないですか。昔、遊んで貰ってた赤司征十郎です。」



赤司、征十郎・・・




『ああ!良く家で遊ばして貰ってたなー。』


父親同士が友人で、俺も家で遊ばせて貰っていた。

『久しぶり、征くん。・・・もうこんな呼び方はちょっと恥ずかしいか?』

「いえ、その方が嬉しいです。」

征くんと呼んだ瞬間少し目を見開いたのでもしかして嫌だったのかと思ったら、違ったみたいだ。

『大きくなったなー。えーと、今は高校生?』

「はい、高2です。」

『若い!』

「あれ、藍沢さんは何歳でしたか?」

『26歳だよー。もう征くんからしたらおっさん!』

「全然おっさんじゃないじゃないですか。」


フォローしてくれてるのか。優しいな。

『でも京都にいたんだ。びっくり。』

「僕もですよ。貴方が高校生になってから、全然遊びに来てくれないと思ったら京都にいたなんて。」

わりと俺のこと気にかけてくれてたのか。


『・・・その制服洛山だよな?』

「ええ。」

『俺も元洛山生〜。』

「奇遇ですね。今はバスケ部で部長してます。」

『俺もバスケ部だった!マジでかー。』

「今度昔のバスケ部の写真引っ張りだして見てみます。」

『やめて!恥ずかしいから!』

やぶへびだ。文化祭の女装写真とか色々あるからあまり見ないで欲しい。

そんな俺を悟ったのか、征くんは目を細めて笑った。

『寮、じゃなくてマンションに住むんだ。』


「はい。1年の時は寮にいたんですが、自立したいなと思って。今日から、1人暮らしです。」

征くんは初めて会った時に既に正座して、オセロやら将棋盤やら持ち出してくるような子だった。4歳とか5歳の子なのに。

自立とはまた違うかもしれないけど大人びていた。

『そっか。大変だと思うからもし疲れた、とか思ったら、俺ん家来なよ。隣同士だし遠慮しないで。』

「はい。じゃあお言葉に甘えます。」



その日から、確かに征くんはかなりお言葉に甘えてきたのだ。




『あの、征くん?』

「・・・何ですか。」

『遠慮するなと言ったけど、本当に毎日遊びに来るとは思わなかった。』

部活帰りだろうか。ほぼ毎日征くんは俺の家に来た。

そんな状態が二ヶ月程続いている。

「いいじゃないですか。」

『うん、いいけどさ。』

夕飯を食べに来たり、作ってくれてたり。

疲れてないのなら、別にいいんだけどさ。

実際仕事帰りに夕飯があるのは嬉しい。

食べ終わって片付けが終わった後、俺の横に座る征くん。近い。

「昔から藍沢さんのそばにいるのが心地良かったです。」

『あ、ありがとう。征くんも、昔みたいな話し方でいいよ。敬語って堅苦しいし。』

何と言えばいいのだろう。そんな率直にそんなことを言われると照れてしまう。



「分かった。・・・遊羽。」

『っ、いっ、』



突然征くんに手首を掴まれ、気付けば天井が見えるような体勢になっていた。



無表情で俺を見下ろす征くん。

「僕は、遊羽が好きだ。」

『・・・え?』

「遊羽だけが、僕に何の偏見もなく遊んでくれた。肩車してくれた時だって嬉しくてしょうがなかった。他の人は僕に怪我させないように、ただそれだけの心配をしていた。まあ、皆父が怖かったからだろうけど。」

初めて会った時、肩車をしてあげたら、ビックリしたような顔をして。

でもその後は顔を赤らめながら、俺の頭にしがみつき遊んでいた。

「僕の目の前から消えてしまって、嫌われたのかと、不安だった。父は詳細を教えてはくれなかったし。」

『あれは、父さんの仕事の関係で引っ越さざるを得なかったんだ。』

「分かってる。でも、ずっと僕の心にはぽっかりと穴が空いてしまった。自分でも理由がわからなかった。だから、この前貴方を見つけた時に確信したんだ。遊羽が、好きだと。」

『・・・黙っていなくなって、ゴメンな。』


そんなに、俺を思ってくれていたなんて。

「遊羽は、僕に恋愛感情抱いてくれないのか。」

『いや、えーと・・・その・・・』

「分かった。」

口ごもっていたら、ネクタイをグイッと引っ張られて。

キスをされた。

「なら、奪うだけだ。」

『〜っ!!』

そして声にならない叫び声をあげてしまった。



「二度と、目の前から消えさせはしない。」



『せ、征くん、?』

「もう体格差なんてほとんどないからな。このように組み敷くのも造作無い。」

あれ、完全に俺の気持ちは無視ですか。

「僕のこと嫌いなのか?」

あれ、今俺の心読んだ?なんて思ったら、顔に書いてあると答えられた。

「十の差なんて、僕は気にしない。」

『俺は、気にする・・・下手すれば捕まるんだぞ。』

「なるほど。じゃあ全部僕から仕掛ければ無問題というわけだ。」

『ちがーう!!』

久しぶりに会った征くんは少し、いやかなり強引な子になっていた。

「僕が二十歳になったら手を出してくれるかな?」

『いや、だから。』

話も聞かない。

「顔が赤い。」

『そういう体質だ。』

目ざとい。

「心臓の音が速い。」

『う、』

嘘が吐けない。



「認めてしまいなよ。僕のこと、好き?」



『・・・・はい。』



目の前にはしてやったり顔の、でも嬉しそうな征くんがいた。



だから、まあ、征くんが二十歳になるまで待ってて下さい。

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