短編夢
多分、どっちもだな(青峰生誕記念/男主/受主)
「うおお、終わんねえぇぇ!!」
『夏休み最終日まで課題やらないって、馬鹿か。』
「大会とか色々あったんだよ!」
テツ達に負けてからは真面目に部活に出るようになった。
そんな、高2の俺の現在の状況がこれだ。
まあ去年もこんな感じだったけどな。
「数学出来たぜ!」
俺の課題を見て一言。
『・・・・・・お前良く進級出来たな。』
「何だとぉ!?」
『これも、それも、全部間違えてる。』
呆れた顔をしていた。
「・・・何、だと・・・?」
俺の一時間は何だったんだ。
『しょうがないから、教えてやる。』
今年同じクラスになった藍沢遊羽。
たまたま近い席になって妙に話が合った。
成績の良い真面目くんかと思えば、普通に肘ついて寝ていたりいやらしい話にも食いついてきたりと、結構な自由人だった。
まあそんな感じで今勉強を見て貰ってるんだが。
『で、この公式を当てはめて、』
何かすげぇいい香りすんだけど。
夏で汗かいてる筈なのにおかしいだろ。
つーか何で俺、男のコイツにムラムラしてんの。
『聞いてるのか?』
ぬっと目の前に顔を差し出されて。
衝動的に、キスしていた。
『・・・は?』
ポカーンと大口を開けているので、もう一度キスしようとしたら、殴られた。
「いってぇ・・・」
『何してんだお前。』
「・・・いや、何かいい香りしてムラムラしたから。」
『節操なしか。ふざけてるなら帰るぞ。』
ムッとした表情で立ち上がろうとする遊羽。
「・・・待て。ふざけてはねぇ。まだ良くわからねぇけど、多分好きだ。」
『微妙だな。』
「・・・今気づいたからな。」
そういや、俺コイツを家に呼んだの初めてだった。
「・・・嫌、か。」
『・・・いや、存外嬉しく思ってる自分がいて、困ってる。』
片手で口元を押さえて赤くなっている。
反則だろその表情。
「遊羽っ・・・」
『でも、課題終わらせような?』
にっこり笑って突き放された。
おい、さっきの表情何だったんだよ。
「生殺しかてめぇ・・・」
『わかった、じゃあとりあえず前払いな。』
軽く触れるようなキスをされて。
よし、早く、終わらせてやる・・・!
その後、終わったと告げた瞬間クラッカーを鳴らされHappyBirthday!と言われた。
忘れていた。誕生日か、今日。
『プレゼントは、俺、っていうのは冗談で、ベタにリストバンドとタオルな。』
まあお前でかまわなかったけどな。
「サンキュ、そんなわけで。」
どすんとベッドに押し倒す。
『万年発情期か大輝は。』
「何とでも言え。」
こっちは、限界なんだよ。
『顔あっついな、大輝。』
頬を触られた。色々と逆撫でしすぎだお前は。
「うるせー、お前だってそうだろうが。」
だから俺もやり返して。
『・・・夏のせいだろ。』
「ああ、そうだな。全部夏のせいにしちまうか。」
この状況に、クラクラしちまってるのは、俺かお前か。
どっちなんだろうな。
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