繚蘭学園
1
夜の帳――、
そこをヒラヒラ優雅に飛ぶ蝶は甘い『蜜』を啜り、己の羽を見事に飾る。
花から花へ飛び移れば、欲望のままに羽を汚れという名の淫卑な色を作り出し一層の輝きを増す。
昼とは違う顔をもつ繁華街に軒並み連ねるのは居酒屋と風俗店ばかりでそこを歩くのは決まってサラリーマンばかりだ。
「オニィサン、僕を買ってくれない?」
モデル並のルックスに碧眼が印象的でそして独特の淫靡な印象をもつ少年が目当ての客を見つけると、親しげに話しかけた。
「……キミっ…。」
「あ、オマケしてもいいよ!男初めてなら僕がリードしてあげるし。」
「……ハイ。」
碧い両目が微笑むと、これから客になるであろう男は何かに後ろ手を押されたように一度は拒否しかけたものを快諾していた。
「またね。真尋君。お小遣に困ったらまた呼んで。」
ピラピラと一万円札を何枚かベッドサイドに置くと、礼を言って去って行く。
「…フン。素チンが笑わせるな。」
客が去ったのを横目で確認し、顔に似合わない暴言を吐いた。
ヒイ、フウ、ミィ
三枚の福沢諭吉を指で弾き終えると鞄にしまい、少しよたつきながら部屋を出る。
繁華街の路地裏にあるラブホテルの一室。部屋は狭いが、目的を果たすには十分だ。
ベッドもシャワーも勿論、ラブホテルなのでゴムだって完備されている。
[次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!