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繚蘭学園
8
弥尋に抱えられて階段を一段一段登っていく。

「一至サン、相当酔っ払ってますよね。普段からそんなに飲むんですか?」

一至に肩を貸しながら苦笑する。
息切れしながらもなんとか弥尋に付き添われて部屋まで入ることが出来ていた。

「ハイ、お水です。じゃぁ、俺は帰りますね。」

コトリ、と水の入ったグラスを手渡され弥尋が帰ろうとする。

「え、あぁ…それじゃ悪いから…一緒に飲まないか?」

言ってしまってからハッと我に返った。
帰り支度を始める弥尋に自ら引き止めるような台詞を掛けていた。

「え、ハイ。一至サンがいいなら俺でよければお供させて頂きますけども…。」

「あ、彼女とかいるなら別に引き止めないから…、迷惑ばっかで申し訳ない。」

イヤミに聞こえてしまっただろうか?
言った傍から謝罪したくて仕方がない。

「いえ、今はいませんケド…。ホント、迷惑なんかじゃないですよ。」

「そ…、そっか。」

一至が言い終わる前に、備え付けの冷蔵庫から缶ビールを手にし、弥尋がグラスに注いでいた。

「やっぱ暑い日はビールですよね。」

本当に美味しそうに飲む。琥珀色の液体の向こう側に弥尋がいる。

つい数時間前会ったばかりなのに不思議と心地良かった。

他人を自分の領域に招き入れることなど初めてかもしれない。
それは彼女にさえ許せなかった。

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