繚蘭学園
14
走って来たせいかまだ時間には余裕がある。
記念の場所は学園から歩けば15分。
走れば10分もかからない場所にあった。
あまり人が寄り付かない薄暗い寂れた公園。時間も時間のせいか、誰もいない。
こんな所でも真尋にとっては大事な場所だった。
『ついたよ』
メールを入れれば期待に胸が高鳴る。
「真…尋?」
後ろから智也の声がした。
「あ、トモ……。」
呼び掛けに真尋が振り向けば智也が制服姿で立っている。学ラン姿の智也を見るのは久々だ。
嬉しさのあまり飛びつくと、優しく笑っていた。
「トモ…電話も無いから…、心配したよ。」
「ごめん…ね。」
ゾクゾクする。久々に聞いたせいか、凍てつく黒い瞳に吸い込まれて行く。
「この間ぶり…だろ。」
真尋が見上げると、智也の表情は一転して黒いものに変わった。
「な…に…?」
何の話をされているのかわからない。話の意図が繋がらない。
「とんだ伏兵に騙されたよ…くっくっくっ。」
嘲笑う智也は今まで見たことのない形相で真尋を睨みつける。
「…トモ?ね、…トモ…なんかおかしいよ…。」
真尋は不安と何か嫌な予感にジリジリ後ずさりした。
「よー。智也、カワイイ子連れてんじゃん。」
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