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繚蘭学園
4
一至はアルコールに強い方ではない。
自分でオーダーした濃いめで作られていく酒に、知らず知らずのうちに堕ちていた。

「あの、大丈夫ですか?」

一至は、カナリの杯数を飲んでいたらしく完全に酒に飲まれている。
弥尋の声が聞こえても、声の主が誰であるか多分理解してないようだ。

「ダイジョブ…。」

財布の中から札を取り出すのも手先が大丈夫、と言う割にはおぼついていない。

「ねぇ、先生。久々に来たのはいいけど飲み過ぎだよ。あ…弥尋君、上がりの時間だよね。上がっていいよ。」

「あ、ハイ。…マスター、一至サンどうします?俺でよければ途中まで送りますけど?」

弥尋は蝶ネクタイを外し、束ねた髪のゴムを外すと酔い潰れている一至に冷たいおしぼりを首元にかけた。

「ウーン。これから僕の友人も飲みに来るっていうし、…一至サンもこんなんじゃ心配だし。」

マスターは一至を横目に困惑している様子だ。

「俺なら大丈夫です…よっ…うゎッ。」

一至が席を立ちあがると、視界がグニャリと曲がり床に足を着いた瞬間よろめいていた。

自分が思っているよりも酔いは回っている。

「…弥尋君、悪いけどお願いするよ。」

カウンター越しに頬杖をついてマスターの呆れた声。
私服に着替えてきた弥尋に肩を貸され、一至は店を出ていた。

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