繚蘭学園
4
○○女子とは家の近所に在る女子校のこと。何度となく中学生の分際でそこの生徒と一緒に歩いているのを真尋に見られていた。
「だから…ったく、それは真尋には関係ないだろ。」
「図星だった?」
してやったり。
真尋は弥尋が慌てる様を楽しそうに眺める。
「とにかく、母さんも心配するから…程ほどにしとけよ。」
「ハイハイー。わかってますって。」
全くわかっていなくても、返事だけは調子いい。
弥尋の苦労なんて全く気にしないでいた。
ヴォーッ…ヴォン。
深夜、ビッグスクターに制服を着崩し、短髪の男が櫻井家の前までくると一度大きく空吹かしした。
「あ、トモ来たから行くね。」
「…って何時だと…。」
「弥尋、イイコ過ぎてつまんない。…じゃ。」
真尋は弥尋の脇を摺り抜け、玄関に向かった。
「トモ、お待たせ。」
「あぁ…。」
中学生の真尋からみたら高校生の智也は大人に見える。顔立ちも、純日本男児といった黒髪に、真っ黒な瞳。
真尋はこの真っ黒な瞳に憧れていた。
自分には無いもの。表情の乏しさはあってもこの瞳が好きだ。
「どこ行く?」
「別にどこでもいいぜ?」
「じゃ、海行きたい。」
「オーケー…。」
智也がアクセルを開けると、後ろの指定席に跨がり振り落とされないように真尋はしがみついた。
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