繚蘭学園
3
焦げ茶掛かった長めの髪を後ろで一つに束ね、真新しいワイシャツに黒の蝶ネクタイがよく映える。
背は一至よりも高そうだ。一至も177センチと日本人男性平均を上回るがそれよりも高い。
180以上は有りそうだ。バンドで袖を止めた腕は鍛えているのか綺麗に筋肉がついている。
「ハイ、ジントニックです。」
「あ、ありがとう。」
目の前にグラスを置かれ、一至は一瞬焦っていた。
実の所、彼のシェイカーを振る姿に見とれていたのだ。
グッと飲み干せば身体がアルコールを吸収していく。
そして、よくみれば弥尋の瞳が左右で違う色だということに気づいた。
「それ、コンタクト?」
左目は湖の底を彷彿させる深い碧色に対し、右目は闇を映す様な黒。
オッドアイといわれる珍しい人間にあったのは初めてだった一至は、しげしげと無意識に見つめていた。
「アハハ、コンタクトじゃないですよ。俺双子の兄貴がいるんですが兄貴は両目とも碧眼なんですよ。」
「へー。でもオッドアイって神秘的でカッコイイじゃん。」
「こんなの所詮、見た目だけですよ。一至サン…こそ職場でもてそうですし。」
謙遜しているのか弥尋は一至の言葉を否定する。
だが、彼の一言にまた思い出したくない事を思い出してしまった。
「あの、大丈夫ですか?」
もう一至の耳には誰の声も入らない。
次々と酒を頼むだけでそれ以外何も口を聞かなかった。
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