香蘭学園 8 もう言い逃れは出来ない。絶対絶命のピンチに額から冷や汗が流れた。 「相手は誰?同じ学校のヤツ?」 「あ…え……。」 しらを切ろうと思っても通せるほどの術も絢斗には通じないことも知っている。 「そいつとはセックスした?」 「!!」 頭の中が真っ白になった。軽蔑される、気持ち悪がられる、そんな念いから振り切ろうと顔面蒼白になるのをひたすら隠す。 「したん…だ。」 ゆっくり絢斗が吐き出すと、肯定するように藍が静かに頷いた。 「そう…。」 何も悪いことはしていないはずなのに絢斗の口調は明らかに不機嫌窮まりない。 攻め立てるような鋭い視線を感じる。 「気持ち悪がるかと黙ってたけど…。」 「別に気持ち悪いとは思わないけど…。」 つかの間の沈黙の後、絢斗からは意外な言葉が出たのに驚き、ほっと肩を撫で下ろした。 「…よかった……。――ッ。ん……ふっ。」 腕を引かれ、なだれ込むように床に引き込まれる。 目の前には絢斗の顔。唇に触れる感触。 頭の中は真っ白で目の前が靄掛かって、次に襲ってくるのは気持ち悪いという嫌悪感。 「い…やめッ。」 浬とする時は全くそんな風に思うことがないのに今は違う。 肩を押して拒絶をしてみても思うように力が入らない。 [*前へ][次へ#] |