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香蘭学園
19
浬が復帰したと聞き付けた一般生徒による押しかけは半端ない。
それ程までにこの学園内ではある意味カリスマ的存在だったりする。
昼休みとなれば尚更、知らなかった隠れファン達は我先にと、浬のいるSクラスへと駆け付けていた。

ヴー…ヴー。

「あ、…噂をすれば彼氏?」
藍の携帯のバイブ音が鳴りだすと同時に彰が茶化すように目を細め、藍の携帯を覗き見る。

昼休みは大体は利華や彰ととることが殆どで、学園内であからさまに浬とつるむことは無いに等しい。

それは浬から藍への配慮でも有り、イザコザを避けるためでも有る。

ディスプレイには、メール着信一件。浬からだった。

――ゴメン。保健室なら放課後いるけど撒いてから帰るから部屋で待ってて。

藍が思った以上に忙しそうなのが文面から伝わってくる。一通り目を通し、パタンと携帯を閉じポケットに捩込んだ。

「浬サンも大変だけど藍ちゃんも大変だね。」

気を使っているのか利華がポツリと言葉を漏らした。
浬が人気があるのは元々知っているし、嫌ではない。
むしろ、誇りにさえ思える。
未だにチョッピリなんで自分なんかが…と思ってしまう。
普段学園内では本心を見せない。優しいのは優しいがあまり喋らず近寄りがたい雰囲気を醸し出しているのに二人きりの時はでは全く違う。

自分だけに見せる素の浬を知っていたから。

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