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香蘭学園
17
慌ててパッと腕を離し、まじまじと浬を見上げていた。

頬に手をあてられ、浬の唇が動く。

「…待たせてごめんね。」

「…ウウン。あやまらないで。悪いのは俺だから…。」

藍が咄嗟にに顔を横に振ると浬の表情が綻んだ。

「俺が留守の間、大丈夫だった?大槻ンとこいってたんだろ?」

「ウン。二人ともイイ人だったよ。」

二人ともクラスも違うのに藍に良くしてくれていた。特に朔夜はいたせり尽くせりのフルコース。
元々面倒見がイイのか料理以外は完璧だった。
あとは料理さえ出来ればイイ奥さんになれるだろう。


コポコポコポコポ…
珈琲の匂いが漂う。
普段、藍が飲むことがないこの部屋で珈琲の匂いがする。

「藍は何飲む?」

「ミルクティ-…。」

「了解。」

リビングで一息着くと、センターテーブルに浬がミルクティーと珈琲を置いた。
インスタントではなくフォンション社製のダージリン茶葉、マグカップはお気に入りのお揃いのファイヤーキングのビンテージものだ。

隣に浬が座ると久々の緊張でなかなか飲めないでいた。
横目でチラっと見ると優しく笑いかけくるとその度に初恋でもした少女みたいにドキドキしてしまう。

藍が赤面しながらも浬にピッタリくっついていた。

浬の顔にあった痛々しい痣はもう薄く消えかけている。

それをそっと指先で触れてみた。

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あきゅろす。
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