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香蘭学園
16
早く寮に戻って藍を抱きしめたい。
この二週間、表情には出さないが、浬は藍不足で気が気ではなかった。
不在の間、藍に何かあったら、と考えていたが今日でそれも終止符を打つ。

「あ、まだ無理するとバキっと折れたトコがいくから2ヶ月くらいは様子見て気をつけろよ。」

「ハイハイ。わかってます。」

「南条、テメー。ハイは一回だろうが!どいつもこいつも可愛くねぇ。」

ブツブツ愚痴を漏らす真壁に構っている暇はない。

散々、日狩と朔夜のイチャつきぶりを目の当たりにされていたのだから…。


―――

ここ最近は帰っても誰もいない部屋に藍が荷物を取りに戻ってきていた。

「…ただいま。。」

「おかえり…。」

「…ッ。」

驚きで、一瞬返事を返されたことに状況がよく掴めない。
暫くの間、返事を返されるなんてなかったのだから。
藍が玄関で立ち止まり、影になった頭上を見上げると、病院にいるはずの浬がそこにいた。

「…かい…り。」

「…さっき帰ってきた。藍をビックリさせたくて黙ってたけど。」

大好きな爽やかな笑顔が目の前に有る。藍は嬉しさのあまり思わず浬に抱き着いていた。

「浬、…お帰りッ!」

「アハハ…嬉しいけど、あんまり強い力が加わるとまだ骨が完全にくっついてないから…。」

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