香蘭学園
12
求めすぎてはいけないとわかっていながらも欲する欲は尽きない。
エリカの存在だけでなく、自分がこんなにもちっぽけで無力。
いつも最後は浬甘やかされてしまう。
「前は…死なんて怖いと思わ無かったのに、浬までいなくなったら…怖くて…どしたらいいかわかんなくて。」
そう、浬に会うまでリストカットするのは痛いけども、死ぬ事に対して怖いなんて思ってもみなかった。
藍が震える声で考えていた事を全て吐き出す。
いつか誰しも死ぬのだから、割り切ってた部分があったこと。
「…一つ勉強になった?俺も藍がいなくなったら困るよ。」
優しく撫でる浬の手は暖かかった。
血が通っている証拠。
指を絡めると、強く握り返される。
「…浬。」
「俺は藍の笑ってる顔が一番好きだよ。だから笑っていて。」
恋人冥利に尽きる一言。
浬は怪我をしていても何をしていても様になる。
「…ウン。」
暖かい。もう泣かない。
そう心に誓った。
「…退院したら、また出掛けような。藍と色んなトコ行きたいし。ホラ、将来迎えに行かなきゃだしね。それまで待っててね。」
甘い台詞に目眩までしてくる。
藍に向けられる浬の眼差しは、いつもと変わらず真剣そのものだった。
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