香蘭学園
11
「俺…のせいだよね。俺がいなければ良かったのに。何もかも…。」
いなければ浬も怪我しなくて済んのだろう。
エリカという婚約者とうまくいったのだろう。いっそ自分の存在を消してしまいたい。
浬に悲しい顔もさせずに済んだだろうし、何よりも自分が男で有ることを悔やんだ。
「アハハ、っ…考えすぎ。俺は好きなコは護りたいし、仮にエリカだったとしたら多分…身代わりになろうなんて思わないよ。」
笑うとカナリ響くらしい。直ぐに顔をしかめる。
普通だったら恥ずかしくなるような台詞。それを惜し気もなく浬が口に出す。
「…ん、そうなの…。」
「疑ってる?」
「そうじゃないけど…。」
「そう?納得してなさそうだから…。」
浬の唇が重なってくる。
それを拒否することもなく素直に受け入れていた。
「本当、藍は涙腺弱いな…。」
「だって…一時は死んじゃうかもって…。」
「誰が?」
「浬がだよ。…先生が言ってた。」
「藍を置いて先に死ぬ訳無いだろ。…先生ってもしかして真壁?」
溢れ出す涙を浬が指先で拭うと、藍がコクコク頷く。
今は回復に向かっている。昨日の浬の容態は確かに良くなかった。
それだけでも嬉しかった筈なのに、それ以上を求めてしまう自分に嫌気がさしていた。
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