[携帯モード] [URL送信]

香蘭学園
11

「俺…のせいだよね。俺がいなければ良かったのに。何もかも…。」

いなければ浬も怪我しなくて済んのだろう。
エリカという婚約者とうまくいったのだろう。いっそ自分の存在を消してしまいたい。

浬に悲しい顔もさせずに済んだだろうし、何よりも自分が男で有ることを悔やんだ。

「アハハ、っ…考えすぎ。俺は好きなコは護りたいし、仮にエリカだったとしたら多分…身代わりになろうなんて思わないよ。」

笑うとカナリ響くらしい。直ぐに顔をしかめる。
普通だったら恥ずかしくなるような台詞。それを惜し気もなく浬が口に出す。

「…ん、そうなの…。」

「疑ってる?」

「そうじゃないけど…。」

「そう?納得してなさそうだから…。」

浬の唇が重なってくる。
それを拒否することもなく素直に受け入れていた。

「本当、藍は涙腺弱いな…。」

「だって…一時は死んじゃうかもって…。」

「誰が?」

「浬がだよ。…先生が言ってた。」

「藍を置いて先に死ぬ訳無いだろ。…先生ってもしかして真壁?」

溢れ出す涙を浬が指先で拭うと、藍がコクコク頷く。
今は回復に向かっている。昨日の浬の容態は確かに良くなかった。
それだけでも嬉しかった筈なのに、それ以上を求めてしまう自分に嫌気がさしていた。

[*前へ][次へ#]

11/40ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!