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香蘭学園
8
午後の授業はもうどうでもいい。
そんなことを言ったら語弊を招くかもしれないが、授業よりも早く浬に会いに行きたかった。

病院自体は大嫌いな場所。なのに今は出来ることならすぐにでも飛んで行きたい。
午後の授業が終わると一目散に浬がいる病院へ着替えもせずに向かっていた。


「個室で整形外科の3階だから適当にプレートの名前見るかナースステーションで聞けよ。」

真壁が病院へ行く前に言っていたことを思い出す。

エレベーターへ手を伸ばし病室まで向かうと、自然と速足になるから不思議だ。
昨日とは全く気分が違う。
プレートを便りに歩くと、

『315号室南条浬様』

浬の居る病室のプレートを見つけていた。

「――浬様ァ〜!」

入口は既に開け放たれて、中から女の子の声がしている。

「か…いり…。」

「藍…。」

藍が目を見開くと、直ぐ目の前には浬に少女が抱き着いていた。
浬は困ったようにその少女を引き離すが、ベッタリ張り付いて引き離すに離せないで居る。

「あ…。」

有り得ない光景に茫然と立ち尽くす。
藍が差し入れと持ってきた飲み物を落ち床に散らばると少女が藍の存在に気づいた。

「アナタ、誰?邪魔しないでくれる?」

「エリカ!!」

浬が形相を変え怒鳴る。少女の名前はエリカと呼ばれ、ブラウンの長い髪を揺らし藍に詰め寄った。

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