香蘭学園
3
硝子の向こう。
直ぐ目の前に浬が居る。なのに、話し掛けることも、抱き着くことも、触れられもできない。
今藍に出来ることといえばただ見ているだけ。
「よーっス!」
背後から間の抜けた声に涙を拭って振り向りむくと、連絡を受けた日狩と朔夜が立っていた。
「あぁ、泣いてたんかよ?アイツ、生命力強そうだから直ぐ生き返るって。」
頭をポンポンと叩かれるとビニール袋いっぱいの飲み物やお菓子をし出してくる。
「…日狩、それ慰めになってないよ。しかも勝手に殺すな。」
ボソッっと朔夜が日狩のシャツを引っ張り、冷ややかに見据えていた。
「アハハ…。ごめん。てか、オマエが不安になってどうするんだよ?」
日狩が同じ目線までしゃがみ込むと困ったように慰めてくる。
「…でも…。」
「人間、そんなヤワじゃないぜ?大切なモンがここにあるのに勝手に逝ったら俺がブン殴ってやるよ。」
「ウン…、有難う。」
無理矢理作った笑顔で笑った。
「泣くなよ…男ダロ?」
いたたまれなくなった朔夜が涙の跡をハンカチで拭うわれると急に感情が高まる。
「…ぅ…ッ。」
一度泣き出すとなかなか止まらない。
「仕方ねーな。今日だけは朔チャン貸してやるよ…。」
日狩が目を閉じたままの浬を一瞥するなり、つまらなそうに吐き出していた。
「あれ?大槻とツレのと南条のツレ?」
声を掛けられ振り向くと、白衣の医師が駆け寄ってくる。
紛れもなく見知った人物。
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