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香蘭学園
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真っ白な四方を囲まれた空間。硝子窓の向こう、目を閉じたまま。

規則的な機械音だけが鳴り響く。

「ねぇ…、お願いだから、目を醒ましてよ。」

藍が窓に手を付き、向こう側にいる人物に泣きながら話しかけた。

反応は全くない。ただ目を閉じ呼吸をしているだけ。

点滴の管が腕に何本も刺さり、痛々しい。

「浬まで…いなくならないでよ…。」

力無く、その場にしゃがみ込んだ。



――数時間前

浬と藍は街へ買い物に出掛けていた。

「何買うの?」

「あぁ、予約してあったもの取りに行くんだけど。」

不思議そうに首を傾ける藍に優しく微笑み、浬が手を差し延べる。

怖ず怖ずと手を差し出すと、ギュっと握られてた。

信号待ちの僅かな時間、ドキドキしながらも伝わってくる体温に安堵する。

相変わらず浬は学園内では人気を博していた。
王子様と崇められ、ファンも多い。
寮の部屋以外ではあまり目立たないようにしていたので学園外では思う存分、恋人でいられる。

横断歩道で信号待ちの間、ソワソワしながらもたわいも無いことを話していた。

今日のランチは何にする?

アレ、美味しそうだね、トカ。そんなプランを立てている間は凄く楽しかったはずなのに。

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