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香蘭学園
25
あんな奴の顔なんか見たくない。

ケタケタ笑いながら日狩が近づいてくる気配にビクビクしながら身体を縮こませる。

「こんなことして、…ただじゃおかないからな。」

「最後の方はヨガってたくせに。」

精一杯の睨みを効かせても全く日狩は動じない。
それどころか鼻で笑われバカにされていた。

「朔夜…これが現実だよ。」

先程まで勝ち誇ったように喋っていた日狩の顔に影がさす。


昼になれば幾分、あの痛みもマシになってくる。

日狩はさっさと着替えるなり、部屋を出て行ってしまった。

一人取り残され、唖然と後ろ姿を見送るしか術がない。

「なんだよ…アイツ。」

唇に指を這わすと日狩の感触が残っていた。


チャプン―――

「はぁぁ、極楽…。」

ピンク色の入浴剤を湯舟に溶かし、日狩もいないので何も気にすることがない。

冷静になればなる程、頭の中は日狩の事ばかりが浮かんでくる。

随分背も高く、容姿も申し分ない。
兄として朔夜は嬉しいはずの再会なのにどうも日狩に対して腑に落ちない。

異常なほど怒りをあらわにしていた母のこと。
その矛先が自分に当てられたこと。

日狩は母親のことを嫌悪している以上に、母親だと認めていない様子だった。

「これからどうしたらいいんだろ…。」

独り言を呟きながら複雑な思いが渦巻いていく。

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あきゅろす。
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