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香蘭学園
23


日狩が後始末を終え、ベッドまで運ぶと、朔夜が疲れ果てて眠っていた。

眠る姿は安らかで、今まで日狩に抱かれていたなんて微塵も思わせない。

ズクッ―――

背中の昔の傷痕が急に疼き、日狩が顔をしかめた。

「…っ。クソ。」

朔夜と離れて過ごした幼い頃の苦い思い出。

ケロイド状に引き攣った丸い無数の火傷痕、母親とあの男にされた虐待。

スヤスヤと寝息をたて眠る朔夜の睫毛は涙で濡れ、月明かりに映える。

日狩がそっと涙の後を拭い、髪を梳いても起きそうもない。

「恨みたいなら恨めよ…。やっと探したのに、傷つけてバカだよな…俺。」

頬を日狩の指先が撫で、手を絡ませた。

「ホント何やってんだかな…。」

日狩が朔夜の手の甲に口づける。

「…好きだったよ。朔ちゃん。」

誰にも触れさせたくない。
華奢な身体も、強気な性格、抱いた時の喘ぐ声。
何もかも全て、誰にも見せずに自分だけの物にしてしまいたい。
腹の奥に潜んでいた独占欲の強さに戸惑っていた。

「遅くなったけど、ハッピーバースディ朔夜…。そしてお休み。」

タバコに火をつけると自嘲気味に笑い、日狩が部屋を出て行く。

伏せられた瞳の奥には図り知れない憎しみに似たそれとも違うものが芽生えていた。

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あきゅろす。
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