香蘭学園
13
それ以外は、小綺麗に片付いて特に面白そうな物は見当たらない。
「チェッ、つまらないの。」
朔夜が面白くなさそうに舌打ちし、リビングに戻ろうと踵を返す。
ガツン
「イタっ――!何だよ…。」
何かに足の小指をぶつけ痛みに悶えていると、その正体は小さめの段ボール。
開封されて有り、中には何やらアルバムらしきものが数冊見えていた。
「…何だコレ?」
アルバムには収まり切らなかったのか、何枚か写真がはみ出している。
床にしゃがみ込み、それを一枚手にすると、朔夜が絶句していた。
「…何でアイツが?」
アルバムの中には幸せだった頃の家族写真。
少し写真の端が色褪せ、遠い日の思い出が蘇る。
泣いている幼い頃の朔夜や、弟の日狩と寄り添って寝ている写真。
何故ココに有るのかは謎だが、どの写真も懐かしい。
パラパラとアルバムをめくると、ある人物だけは顔の部分だけが欠損していた。
カッターで切り抜かれていたり、タバコを押し付けたのか焦げているものも有る。
…母親だけ。
母親の顔だけは、全て存在を否定するかのように無くなっていた。
「…どうしてアイツ、こんなモン持ってるだよ?」
わなわな震える指先に力が入る。
大槻日狩は実の弟なのだろうか?
よく見れば何と無く面影が残っている。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!