香蘭学園
11
日狩が朔夜を一瞥するなり、吹き出していた。
「アハハハッ、金持ち坊ちゃん達は違うね。」
タバコを指に挟んだまま、ソファーに踏ん反り返り、取り乱し狂ったようにケタケタ笑う。
朔夜の今まで押さえていた感情の箍が外れ、堪忍袋の緒がついに切れた。
「ッてか、…高校生が煙草吸うなよ。」
「関係ないだろ?迷惑掛けてるワケじゃないし。」
「迷惑、ウザイんダヨ!」
ハァハァと息を荒げ、今、目の前でタバコを吸っている日狩に怒りを爆発させるが言い返され逆に睨まれる。
「アハハ、素晴らしいオトモダチ…。どうせ、表面上だけだろ!片腹痛い。」
日狩の口角が上がると、ズケズケ冷淡な口調で言い放つ。
「…何だよ。マジ、頭イカレてるんじゃない?朔チャン。」
人差し指をこめかみに当て、尚も挑発して来る。
「オマエ等みたいにオトモダチゴッコしてるの見ると虫酸が走るんだよ。」
「は?俺は折角、誘ってやったのに…、酷いよ。」
朔夜が精一杯、睨み返すが、全く日狩は動じることも無い。
「キモイんだよ。」
笑いを止め、眼光が尖る。
ギュッと、指先手が白くなるほど掌を握りしめ、日狩の浴びせかける冷たい台詞を黙って朔夜は耐えていた。
それきり、言葉を交わす事はない。
小林のタメだと思いつつも、これ以上何も話したくなかった。
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