香蘭学園
4
ぼけっと朔夜が日狩を盗み見るようにするが、食い入るような冷たい眼差しがひしひしと伝わってくる。
「…ねぇ、気まずいんだけど。俺、何か付いてる?」
目を反らすように、恐る恐る尋ねると、
「ちっさ…オマエ本当に男かよ?ちゃんと付いてんのかよ?」
大袈裟にケタケタ意地悪く笑いながら、初対面の朔夜に意図もたやすく毒を吐く。
朔夜は最大のコンプレックスである身長を馬鹿にされ、凹んでいた。
「実はオマエ、女トカ言うオチなんじゃねーの。」
日狩が目を細め、見下されながら吐き出す言葉は不快にしか過ぎない。
「俺はれっきとした男だし、オマエ扱いされる筋合いないよ!」
一気に怒りで頭に血が上り、怒鳴り散らしていた。
一瞬、日狩が黙る。
が、
「アハハ、威勢の良いお子様が同室だなんて笑えるよな。」
「同じ歳だろ!それに朔夜って名前がちゃんとあるんだからオマエとかお子様とか言われる筋合いはない。」
言い切ったと同時、日狩の両腕が朔夜の腰に回っていた。
「何だよ…キモチ悪い。」
「細ッ。下手したら女より細いぜオマエ。逆にやられちまうんじゃねーの?」
「余計なお世話!」
わざと言葉を選んでいるのか、神経を逆なでするような発言しかしてこない。
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