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香蘭学園
24
あんなにうるさかった淕が寝息を立てて眠りにつくと可愛いものだ。

ついついプニプニした頬を突きたくなる衝動を抑える。

藍はまだ就寝には早いと、浬によく似た淕の髪を撫で寝付けないでいた。

「かい…り、起きてる?」

「あぁ。……何だか藍に悪いことしたな…。」

「…ん。俺は楽しいからいいよ。…家族…、みたいだし。渚さん、浬のお姉さんだって悪い人じゃない。」

寝た子を起こさないようにゆっくり身を起こし、小声で浬話しかけた。

「そっか。それなら良かった。」

「…浬って、実はお姉さんには弱いんだね。」

「あぁ。渚は昔からあんな調子だからな。…刃向かえば……倍返しが待ってる。」

苦笑混じりで返す浬はほとほと困ったような声色で暗がりの中でも容易にその表情が想像ができる。

(兄弟…か…。)

考えたこともなかった。

今更、無いものねだりだとはわかってはいても頼れる兄弟がいるのは心強い。
それに、浬に姉と兄がいることを紹介されるまで知らなかった。

寮ではあまり家族について浬は詳しく話さない。
それは自分に気遣ってなのか、それともあまり話したくないなにかがあるのか。
理由はわからないが浬の狼狽する様子を思い出すだけで笑ってしまいそうになる。

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