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香蘭学園
20
マンション前、藍がここに来るのは二度目だ。

「……。マズイ…な。」

バイクを下り、浬の見上げた先は目の前にそびえ立つマンションの一角。

「ちょっと待ってて。」

藍をシートから抱き抱えておろし、携帯電話を取り出すと電話をかけだす。

浬がチラチラと視線を送りながら誰かと話している。話している内容の予測はつかないが浬の様子からしてなにか不自然だ。

「浬……、どう…したの?」

「ちょっと……いや…。」

藍が不安そうに浬に尋ねると、なんとも曖昧な返事を返される。

と、その時、エレベーターの階数を表す表示が動き出し、扉が開く。

そこに乗っていたのは幼稚園くらいの男の子と真っ黒なワンレンの綺麗な女の人があらわれた。

「あ、カイ〜!」

小さな男の子は浬を見るなり一直線に駆け寄ると嬉しそうに浬に抱き着いた。

「……ここに来るなら来るって前もって連絡してよ!」

一方、不機嫌をあらわにした女性は胸元を強調した姿で浬に詰め寄る。

「カイ、抱っこ抱っこ!」

男の子は浬に抱き上げられると満足そうにキャッキャと笑い出す。

何が起きたのか、一瞬藍は我が目を疑った。
よくみれば浬と男の子はよく似ている。そして、この女性は浬の何なのか。

状況が掴めないまま三人の顔を見比べていた。

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あきゅろす。
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