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香蘭学園
12
よく晴れた青空は雲一つない。

「じゃ、行ってくる。」

「あぁ…。」

中間考査も終わり今日から二連休が始まっていた。
朝から藍は自宅に帰る準備とルートの確認をする。

もう隠すことは出来ない。浬は覚悟を決め、帰るなとはこの日まで言わなかった。

「……藍……。」

「ん?」

「や、両親に…よろしく。」

「あ、……あぁ。」

一度引き止められ、浬に髪をくしゃりと撫でられた。
――撫でられた瞬間、何故だか懐かしい感覚が蘇る。
(なんだっけ…?)

一瞬戸惑ってはみてもそれ以上は思い出せない。照れつつも久々の自宅へ帰れることに藍はすぐに踵をかえしていた。

バスに乗り、電車を乗り継ぐこと二時間。
あまりに痛々しい腕に残る傷痕は心配させてはいけないと浬が包帯を巻いてくれた。

「あっつ……――。」

もう残暑もいい時期なのに照り付ける太陽はジリジリと肌を焦がす。

――あれ…。

駅を出て気づいた感覚は最近も見た気がする。

しかもごく最近。
急に立ちくらみがするものの駅のホームで立ち止まるわけも行かないので近くのコンビニに避難した。

店内は疎らに客がいる。エアコンが程よく効いた店内でミネラルウォーターを買い、目的の場所まで歩くが何故だか足取りは重い。

じわじわその感覚は家に近づくに連れ増幅していく。

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