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香蘭学園
7

保健室では保険医である真壁を中心に日狩、朔夜、浬の四人が集まっていた。

「んで…どうなんよ。」

日狩が備品のコーヒーセットを用意しながらくわえタバコで背中越しに浬に話を振る。

「学園に来る前のことは…覚えているみたいだが。」

「じゃあ数ヶ月間の記憶が失くなったと?」

「まぁ、そんな所だ。」

「……南条…、落ち込むなよ。」

「俺は別に今からまたやり直せば構わないんだが…。」

ため息混じりの浬に朔夜が励ますが、浬は苦笑するだけだった。

構わない――、それは嘘ではなく藍が辛い過去を忘れ、またこれを機に一からやり直すいいきっかけだと思っていた。

「…ただ……また思い出した時に望田が立ち直れるかどうかだよな。」

「……あぁ。」

真壁の的確な意見に浬は短く返事を返し、表情に陰りがさす。

学園に来た経緯も、夏休みにあった出来事、つい最近のこと。どれをとってももう一度思い出した時に藍がどんな行動をとるかは浬にでも予測不能だ。

「…で、本人は?寮にいるんだろ。オマエがついていなくて平気なのか?」

「……寝かせてきた。」

「あぁ、そう。」

真壁が納得したのか顎で相槌を打った。朝、浬が保健室に来た時に安定剤として処方したのが役に立ったと。

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