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香蘭学園
5

とぼとぼ朝来た道を戻る。その間、藍と浬に会話はなかった。


「ねぇ、腕痛い…。」

「すまない。…でもこうしないと逃げるでしょ?」

朝いた部屋に戻され、部屋の中でも浬は藍を解放しない。今のまま学園外に出たところでまた面倒なことを避けるためだ。
藍は突っぱねようとしてみてもビクともしない為諦めて大人しくなる。
地べたに座り、藍が降伏の意志を見せると浬の腕が離れた。

「……なんなの?」

じっと見下ろしてくる浬の視線を邪険にするように藍が口を開く。

「何が?」

「利華や彰に聞いた。…その……。」

何と言っていいかわからない。言いたいことは決まっているのに、喉元で止まってしまう。

「……ここ男子校だよな。」

「そうだけど。」

藍は何気なくさっき隠れている時のことを思い出し、浬に聞いてみた。

「その…ソッチの人とか…多いの?」

「……?」

「利華が言ってたから…。さっきトイレで隠れてたら…ヘンな声聞こえたし…。」

いってるそばから茹で上がったタコの様に藍が頬を染める。

「……まぁ、…中にはいるよ。」

「そ、そっか……。」

浬は苦笑しながらくしゃりと藍の髪を撫でた。
撫でられるのに抵抗はなかったが、やはり気分は良くない。

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