香蘭学園
12
浬はというと、よくそんなことに一生懸命になれるなと始終苦笑を漏らしていた。
サイトがあること自体は浬本人も知っていた。だが、信憑性のないデマカセの情報やら無断で使用されている画像にいちいち構っているヒマはない。
否、興味がなく一度開いてしまったことはあっても二度目はなかった。
「それより、次化学だろ?移動しなくていいのかよ。」
「わっ。ヤバイ、日狩行くよ。」
「あ、あぁ。」
やっと中断して化学室に向かう。そこまで没頭する意味はただの興味本位だけで人は隠されると知りたくなるという習性のお手本のような二人だ。
それは放課後も飽きもせず続いた。
「まだやってんの?」
「あぁ、気になることは徹底的に追究したくなる。」
「あ、もしかして南条、俺や日狩に見られたらヤバイと思ってたりする?」
ニヤニヤと弱みを握ったとばかりに朔夜がほくそ笑む。
「別に。…それより榎本キスマーク見えてんぞ。」
「え、えっ!日狩ッ付けるなっていっただろうが!」
夏用の制服である朔夜の着用している開襟シャツの隙間からまだ真新しい紅い痕跡を指差しニヤリと仕返しとばかりに不敵に笑った。
一段落したあと藍を迎えにAクラスまで浬が向かう。スタスタと廊下を歩くと同じ学年の生徒とすれ違った。
今まで楽しそうに喋っていたのに浬を発見すると急に顔を引き攣らせそそくさと会釈して逃げていく。
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