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香蘭学園
3
浬の相手に似つかわしくないことは重々承知していた。

夕食の学生食堂は混雑し、席を確保するのも難しい。夕食は決まって一番大きな食堂にいく。ここはメニューも豊富で普段高級食材ばかりではなく、一般の定食も置いてあった。
舌の肥えた生徒たちは庶民の味に飢えている為、決まってここに集まる。

「どうする?席いっぱいみたい。」

袖を引っ張り見上げるとそこには浬の眩しい笑顔。

「大槻が席取ってくれたってメールきてるから心配しなくて大丈夫だよ。」

「……ウン。」

人混みを浬が一歩踏み出すとあれだけザワついていた食堂も小道ができ、会釈とともに目的の場所まで簡単にたどり着くことが出来た。

「よ、席は陣取っといたぜ?」

「サンキュ。さ、藍は何食べる?取ってくるよ。」

席の前まで来ると、サッと自然に椅子を引かれ、藍を座らせる。その姿でさえも紳士のようで様になる。メニューを決めると踵を返し、その足で二人分の食事を取りに行っていた。

「やーさーしー。日狩も見習えよ。」

「は?俺だって夜は満足…っイテ。」

「変なことを公共の面前で言わないッ。バカ、変態!」

「…は…はは。」

ポカリと殴られさも痛そうにしていたのは浬のクラスの大槻日狩、殴ったほうはその同室であり恋人の榎本朔夜だ。何かとよくつるんではいるものの素性の深いところまでは知らない。

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