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香蘭学園
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――この世で一番醜いものは何ですか。


長かった夏休みも終わり、二学期に入って暫く経ったたある日のこと。

(次、数Uだ…。)
机から教科書とノートを出し、次の教科の準備を進めているとチリッとひりつく様な痛みが指先に走っていた。

「……イッ。」

「藍ちゃん、どうかした?」

「何でもないよ。ちょっと紙で指切った。」

ぷくっと血の玉が数滴出てくるが傷は浅い癖にズキズキと痛い。久々の痛みに顔をしかめ、落ち着けと自己暗示をかけるが痛いものは痛い。

「んー、紙で切ると痛いよね。はい、絆創膏あげる。」

利華は鞄から男子が持っているには疑問なキャラクターものの絆創膏を藍に差し、痛そうとそれ見守る。

「ありがとね。」

「どう致しまして。」


夏休み明けから妙なことが藍の身の回りで多々おこっていた。
持ってきたはずのノートがなくなったりは頻繁だ。だが、誰かを疑うこともせず毎日をやり過ごしてはいたものの今日は余りにも酷い。

(……何だよ。これ。)

ノートの間にはカミソリが仕掛けられ、開くと手紙が入っていた。大体の内容の見当はつく。

浬と同室ということ、そして付き合っていることをよく思っていない生徒からの嫌がらせだ。
藍はまた手を切らないようにピリピリと丁寧にカミソリがついた頁を切り取り素早く鞄に放り込むと、見なかったことにしようと決め込んでいた。

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