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香蘭学園
33

「……。」

「俺に飽きたなら、その子が本当に好きなら…付き合えばいい…。」

涙は見せたくない。なのに、言った瞬間にジワリと視界が熱く霞む。

出来れば言いたくなかった。勘違いされては困る。

たった一人の血の繋がった弟だから、だからこそ世間一般でいう普通な人生を歩んでほしい。
この場合はちゃんと女の子と付き合って欲しいということなのに。
心では解っていても日狩が自分以外となんて…、それが許せないことにイラついていた。

「…朔チャンそれ、本気で言ってる?」

「本気も何も…キスしてたの見たし。」

否定したい自分がいる。
それを隠したいのに隠せないでいる自分もいる。

「……。」

黙ってしまった日狩をバレないようにそっと振り向くと、それに気づかれ唇を重ねてきた。

「んっ……。あっ…。」

「その場で俺を咎めてくれれば良かったのに…。俺も朔夜がいなくて探してて他の野郎と楽しそうにしてたなんて聞いたらムシャクシャした。」

「んっ…あッ、日…日狩?」

「よくわかんねぇ女に振り回されて変な薬飲まされるし、心の迷いだってあわよくばやっちまおうかと思った。」

「……ッ。」

「でも、その気にならなかったんだよッ!…安っぽいヤツとヤったって楽しくも気持ち良くもなんねぇ。」

苦しそうに喉から声を出す日狩は瞳を伏せ、肩で息をする。

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