香蘭学園
25
ペリペリとガムテープを外して行く。
皮膚が擦れてガムテープの跡が赤く爛れていた。
「痛い?」
「……。」
首を横に振るだけで言葉は発っさない。
何となくいい雰囲気。
優しい、頼もしい。そんな椎名はこの状況下に置いて朔夜の好感度をあげていた。
フワリとブレザーを膝に掛けられ、椎名を見上げると困ったように笑うだけ。
朔夜はそれに気づき、頬を赤く染めた。
「椎名…サ、ン。ん…っふ。」
ゆっくり唇が重なっていく。
突然過ぎて微動だに出来ず成すがまま、大きく瞳を見開いていた。
ヌルリと舌が捩込まれハッと我に返った時には、もう遅い。
気づいた時には日狩以外の人と初めてキスしていた。
ツーと唾液の銀糸が架かり唇を濡らす。
「ねぇ…、本気で好きなんだ…。」
熱い眼差しは冗談ではなく、朔夜の心を捕らえて離さない。
双眸から見つめてくる真剣そのものの気迫にキュンと心臓が高鳴った。
「朔夜!!」
激しくたたき付けられるようにドアが開くと息を切らした日狩が現れた。
「日…狩?」
「……ハァ…ハァ。」
心なしか息が荒い。
胸元がはだけ、目が血走っている。
ゆっくり身を起こした日狩の目の前には見たくない光景が広がっていた。
「…どうも、君、大丈夫かい?」
朔夜に寄り添っていた椎名が言葉を掛ける。
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