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香蘭学園
23


「駄目だよ。榎本君に男物の下着は似合わない!」

「!!」

椎名の目を盗んで一人が全て脱がすと、開いた窓から投げ捨ててしまった。

それには朔夜も唖然とヒラヒラ窓の向こうに舞う布切れはスローモーションに映る。
もう一人も今まで床に散らばっていたスーツ一式を急いで抱え込むと窓から投げていた。

「……。」

「……。」

一瞬の事で、朔夜も椎名も言葉を失う。
ただ言えるのは、取りに行くにしろ行かないにしろスカート姿で行かなければいけないということだ。

「……服…。」

「…ざけんな!」

まだ窓の外を虚ろな目で追う朔夜に対して椎名は声を荒げ首謀者と思われる者へ詰め寄った。

「ふ、ふふふ。…じゃ僕たちはこれにて退却!」

「了解!」

「榎本君、オカズ提供有難う!」

文系のくせに逃げ足だけは早い。バタバタと逃げていくと何事もなかったかのように時間だけが過ぎていく。


「大丈夫…かい?…っ…。」

「……。」

椎名が途中まで追ったが諦めて朔夜の元へ戻ってきた。朔夜のスカートから伸びた足はまだ大人に成り切れなくて、細く白い。

ギュっと裾を掴み俯く朔夜に椎名がそっと肩を貸した。

「僕なら…君を守ってあげるし…。嫌なことはしないよ。」

髪を撫でる指は優しい。
いっそのこと日狩よりも…と朔夜の心を掻き乱していた。

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