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香蘭学園
19

「…朔夜?」

ピクリと日狩の耳に朔夜の喚く声が聞こえたような気がして思わず振り向く。

「ねぇ…、どうしてもその気になってくれないの?」

「何回も言ってるだろーが!そんな安売りしないぜ?」

皮肉を込め相手が女であろうと容赦なく突き返す。
女イコール手持ち無沙汰のタバコのような存在。

暇な時に手の平で転がし欲を満たせばそれで終わり。

そんな存在に指図や要望を叶えてやる必要性は何一つ見当たるはずもなく、日狩の激昂を煽るだけだった。

「キスしてやっただけ有り難く思え。」

吐き捨てるように言うと彼女も黙ってはいない。

「じゃぁ、最後にもう一回してよ。これで最後…。」

おめおめ引き下がるかと思えばなおもくいついてくる。
仕方なく強引に引き寄せると唇をそこに落とした。

舌を絡ませ潤む瞳の向こうで小悪魔リリムが舌を出す。

「…ゲホッ……、ぐ。何した?」

「え?だって…日狩君つれないんだもん。付き合ってよっていっても拒むし…だからね!」

カシャカシャ飴玉の缶に似たピルケースを見せ付けられていた。
「媚・薬。私を拒んだバツ。こんなのに頼りたくなかったんだけど…ネ。」

グルグル視界が霞む。体が抑制をきかずに段々と膨らむ欲望だけが浮き彫りになっていく。

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