香蘭学園
17
「日狩くーん、案内してよ。」
「ハイハイハイハイ。」
「やった!」
最後に日狩を気に入ったという制服姿の女の子は嬉しそうに頬を染めた。
わざと開けたワイシャツに短いスカート、嫌でも目線をそこに持って行かせる。
まぁいいか。
呆れて物も言えず押し切られるように彼女と共に行動する羽目になっていた。
強引な女は嫌いじゃない。
自ら喰ってくれと言っているもので、男はいつでも狼に豹変できる。
特定の相手がいなければ即手合わせ願いたいという反面、理性がブレーキをかけていた。
日狩は今まで侵してきた遍歴を思い出し、己の進歩にせせら笑う。
「ね、キスしてよ。」
「あぁ…。そのくらいなら構わないけど。」
短く返事を返すと、甘えた声で爪先立ちで日狩の肩に腕を回す。
楽しそうに自分の知らない奴にホイホイついていく朔夜が悪い、と言い聞かせキスくらいなら許されるだろう。
勝手な自己解釈から拒否することもせず、久々に他人を領域にいれていた。
うっとりする彼女を目前にしながら考えることは彼女の事ではない。
が、それに応えるように彼女の満足いくまま唇を重ねていた。
空き教室の片隅、それを朔夜に見られているとも知らずに……。
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