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香蘭学園
4
別に祭事は嫌いじゃないが進学校ともなると2年に一度しかない文化祭は楽しみにしていたはずなのになぜか乗り気になれない。


「…んで、ここのクラス何やんの?」

朝飯代わりのパック牛乳にストローを挿し朔夜が尋ねた。

「きいてなかったの?喫茶店だってさ。」

「王道じゃん。つまんね。」

「まぁ、そんなもんだろ。どこの学校だってお決まりだし、考えるの面倒なんじゃないか?」

「へぇ、やけに冷めてますね。浬様は。」

厭味を含んだ朔夜の物言いに全く気づいていない模様で静かに読み掛けの本を読み出す。
独特の距離感にどうして憧れる輩がいるのか不思議で堪らなかった。


2限目の休み時間。購買部が開くとなって生徒たちは我先に群がる。
朔夜もその一人。
いくら金持ちの学校であっても食欲には勝てない。くだらないことかもしれないが、育ち盛りの高校生には目当ての食料をゲットすることに必死だ。


「ラッキー、焼きそばパンゲット!」

朔夜が多数の生徒の間を海間縫って手に入れた焼きそばパンを頬張る。こんな時だけは体が小さいと便利だ。

「あ…、榎本…君?ちょっと時間いいかな?」

「ん?」

もぐもぐ廊下の真ん中で咀嚼する朔夜の肩を誰かが叩いた。
振り向けばそこには見目麗しい程の笑顔が有る。

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