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香蘭学園
16
一列に整列した怖面、スーツ姿の方達のお出迎え。

「「ようこそ、雨宮家へ。」」

息のあった挨拶と斜め45度のお辞儀、その中でも偉い位だろう男性を利華が呼び寄せる。

「あぁー、ちょっと…そんな盛大にしなくていいから。驚かせちゃうでしょ。」

「で、でも利華様ッ。」

「ほら、引いて引いて!」

大の大人が高校生にあしらわれる姿に思わず藍が苦笑を漏らした。

「ま、適当に寛いで。ウチ、ちょっと特殊だけどみんないい人達だから気にしないで。」

「……はぁ。」

気にするなと言われても気になってしまう。今更だが入学当初、利華に逆らえない生徒はこのことを知っていたのだろうと妙に納得していた。

カコーン、ししおどしが風流に涼しい音を奏でる。

「利華、ごめんね。」

「気にしなくていいから、それより、汗かいたでしょ?シャワー使う?」

「……あ、…そうだね。」

ベタベタ衣類が張り付くのが利華に言われると余計に気になり出す。絢斗にされた後、そのまま出てきてしまったので早く流してしまいたかった。

「お風呂は突き当たり、あとでタオル持ってきてあげるから、入ってて。」

「ありがと。」

廊下の突き当たりにある扉を指差すと利華がパタパタ慌てて走っていく。
それを目で追いながら視界から消えるまで藍はその場に立ち尽くしていた。

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あきゅろす。
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