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香蘭学園
15
やっと素の笑顔で人と接することが出来るように、と思った矢先起こってしまったことはあまりに深く、古傷を大きくえぐる。

裏切られ無くなったものの代償は計り知れないほど大きかった。

「利華…は違うよな…。」

一抹の不安を抱えながら待つ時間は長くも短くも感じる。


プップー、クラクションとハザードの光り。

「藍ちゃん…!」

「利…華…。」

和装姿の利華が手を振り黒い目立ちすぎる車の後部座席から降りてきた。

「大丈…夫?あ、…取り合えず車乗って。」

「う…ウン。」

手を引かれ、乗り込んだ車は豪華な皮張りのシートで恐縮してしまう。

「出して。」

「はい、わかりました。」

お抱え付きの若い運転手だろうか。白いグローブを嵌め、利華の指示に従うと車が発車した。

「もー、びっくりしたよ。…って大丈夫?」

「……。」

「あ、運転手の相沢が怖かった?あーみえてもいい人だよ…。」

利華は藍の様子を伺い、気遣って話し掛けるが、カタカタ震える藍に目を伏せた。

「つきましたよ。」

重厚な門扉が開かれ、ライトアップされた日本庭園が目の前に映し出される。

「ハイハーイ。藍ちゃん到着したよ。」

「う、ウン。」

利華にとっては自宅なのだから当たり前のように玄関に向かっていくが、藍にはその家の大きさに立ちくらみがした。

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あきゅろす。
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