香蘭学園
14
これからのことで膝を抱えうずくまり、深いため息がでる。
Trururu…Trururu。
突然、鞄の中にしまったばかりの携帯が鳴りだすと、誰からの電話かも確認しないまま慌てて着信ボタンを押していた。
「…も、もしもし…。」
『あー、藍ちゃん?僕、利華だけど暇してる〜?浬サンと一緒なら悪いから切るけど。』
一瞬ドキッと心臓が止まるかと胸を押さえる。
電話の相手はクラスメイトの利華からだったのに安堵の息をついた。
カラカラ笑う声に癒される。
『実家帰ってもやること無いし、藍ちゃんの家遊びに行こうかなぁなんて…。』
「あ、…。」
さっきの光景が治まりかけの震えを呼び起こす。
『…どしたのー?マズイ?具合悪いの?』
「利…華…お願い…聞いてくれる。」
『……藍…ちゃん。』
電話口で藍に異変があったことを悟り、利華が心配そうに笑うのをやめた。
「も…ダメかもしんない。」
『どこにいるの?迎えにいこっか?車出してもらうから、動かないでね。』
「ウン、…ありがと。」
場所を告げ電話を切る。
夕暮れの太陽が沈むのをただ茫然と眺めていた。
キィ、錆び付いたブランコに移動すると、日中は子供で賑わっているだろう公園も今は静まり返って薄気味悪い。
「何でだろ…。」
友達だったはずが、一瞬にして砕け散った虚しさ。
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