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香蘭学園
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今更帰った所で迷惑なんじゃないか。考えれば考えるほど、マイナス思考しか生まれない。

必死で言い聞かせていた言葉を口にしていた。

「…ったく、泣くなよ。俺が泣かしたみたいじゃん。」

「…スイ…マセン。」

困ったようにタバコの煙を吐き出すとくしゃくしゃ大きな手が頭を撫でる。

「…きっと、心配しているよ。帰ってくるのを待ってるって。」

他人の言うことを信用しないとあれほど誓ったはずなのに、何故か確信を持ったその言葉は心の中の深い部分に侵入してきた。


「…そう思う?」

「バカだね。悪いことの後はいいことがあるっていうだろ。少しだけ素直になってみたら?辛いの忘れられるぜ?」

「おだてても何も出ないよ。」

気恥ずかしさから悪態をつくが、涙も止まり、心内が晴れていっていた。

「よし、泣き止んだな。そんなカッコじゃ電車乗れないだろ?これも何かの縁だと思って送ってやるよ。」

確かに雨で制服はくしゃくしゃ、泣いたお陰で腫れた瞼では電車に乗ることもままならない。
近くに止めてあった黒塗りの海外製高級車のハザードが点灯する。

「借りは高いよ。」

助手席を開け、藍に乗るように促す。

行き先は勿論、決まっている。今、藍が一番会いたい人のいる場所。
浬が居る私立香蘭学園の寮へ車が動き出していた。

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あきゅろす。
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