香蘭学園
14
信じられないことを聞いた。多少なりそんな人種がいることは知ってはいても、まさか本当にいるとは聞いてない。
「オトコノコだよ。だって男子校だもん。ね、彰?」
「そっ、じきに慣れるよ。」
全くもって動じていない。果たしてこれは慣れなのか、藍は頭を抱えていた。
数日もするば、周りの環境に馴れていく。
出歩けば、校内を我が物顔でイチャついてる男子生徒も見馴れていた。
朝は朝で浬と顔を合わすことが日課で、言葉数は相変わらず少ないが何かと世話を焼いてくれる。
それがなんとなく藍を笑顔に変えていった。
結局は利華達と藍はうまくやっている。
「ねぇ、浬サンいい人だよね…格好いいし…、優しいし。」
平穏な日々が過ぎようとしていたある日、利華が何気なく呟いた。
先日、藍の部屋に利華と彰が押しかけてきた際に浬が嫌な顔一つせず持て成していたことを思い出しているのだろう。
藍は胸の奥底でチクリと針が刺さるような気がしたが、何でもないように奥に押し込む。
「あぁ、普段あまり喋らないけどね。」
「そうなの?」
意外とばかり利華が驚いた。その後に「俺といるときはね」と藍が付け足す。
「ふーん、もてるから忙しいのかな?」
利華の何気ない一言に顔には出さないが、藍を更に落ち込ませていた。
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