香蘭学園
12
クリクリの小動物のような容姿というのが一番よく当て嵌まる。
その少年を見るなり、周りに居たクラスメイトたちは一斉に黙りだした。
声の主の方向を見ると、愛くるしい笑顔で藍に手を振る。
「僕、雨宮利華(アマミヤ・リカ)、こっちは一来彰(イチキ・アキラ)宜しくネ。」
「望田宜しくなッ。」
「…宜しく。」
不思議な光景。
こんな少年一人の発言に黙ってしまうなんて、何か裏がありそうだった。
「ココはエスカレーター校だから、途中編入とか珍しくって、皆テンション高くなっちゃうんだよね。」
「そうそう。可愛かったりするとなおさらね。」
正直このノリは苦手で初対面で馴れ馴れしいのは嬉しい反面、戸惑う。
「…そうなんだ。」
何を言われても適当にあしらっとけばイイや、なんて考は通じない。
笑顔を絶やさず一生懸命に雨宮が話しかけてくる。
「僕は利華でいいよ。望田君って呼び難いから藍ちゃんで良いよね。」
「俺も彰でいいよ。望田藍ちゃん。」
彼等のノリについていけないまま、S・H・Rが終わると担任が教室をでていった。
「ねぇねぇ、寮は誰と一緒?僕は彰とだけど。」
「あ、俺も気になる。誰なんだ?」
必然的に空席になっていた利華の隣の席で、質問の嵐を避けるように藍が突っ伏していると、利華と彰、二人して好奇心でイッパイに藍の領域に入ってきていた。
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