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香蘭学園
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学食は、寮の7階と学園校舎内の地下1階、校内の離れた場所の計3箇所。

浬についていき、一番近い寮の中にある学食へと向う。
昨日とは違い、学食行くまでの間にちらほらと生徒が歩いていた。

学生食堂とは名ばかりで、財界の子息ばかりが集まる高校とだけあり、レストランのように広く、メニューも豊富だ。

浬が窓際の席を案内し、何が食べたいか、と聞くがどれを選んでいいか戸惑う藍に痺れを切らし、勝手に選んだトレーを藍の前に置いていた。

「時間ないし、これでいいよな。」

「あ、サンキュ…。」

目の前に差し出されたのは、フレンチトーストとオレンジジュース。
ふんわり狐色に焼かれたフレンチトーストからは甘いイイ匂いが漂い食欲を誘う。

「…いただきマス。」

「召し上がれ。」

浬が笑いかけると、何故か恥ずかしくなってしまい、藍の顔は赤面していた。

表情があまり無い、冷たいと思った第一印象は間違いっていたようだ。

「痩せてるんだらか、ちゃんと食べなよ。」

英字新聞を片手に、ブラックコーヒーが浬に良く似合う。
日の光を浴びて長めの前髪が影を作っている。

そこだけがゆったりした時間が流れ、食べるのも疎かに見とれていた。

男子校でなかったら相当、女の子にもてているはずだろう。そんな憶測が頭の中で飛び交うと少しだけ気が引けていた。

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