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香蘭学園
9


太陽が眩しく窓から差し込む、転入初日。
イイ天気なのにも関わらず体が怠く、藍が欠伸を噛み殺していた。


手早くシャワーを浴び、クローゼットに掛けてあった真新しい制服に袖を通し、綺麗なカーゼと共に腕に包帯を巻いていく。

新しい制服は以前通っていた高校とは違って学ランではなく、ブレザーだった。

淡い水色のワイシャツに、紺のブレザーとチェックのパンツ。
それに、学年ごとに決められた色のネクタイ。
これがどうもうまく結べない。

「おはよう…ございます…。」

「おはよう。ネクタイ結べないの?」

「……はい…。」

リビングで身支度をしている浬が涼しい顔でネクタイが引っ掛けてあるだけの首元を示す。

「俺と同じ学年なんだ?結べないなら、結んであげる。」

「有難うゴザイマス…。」

初めて他人にネクタイを結んでもらうことに緊張しすぎて藍の声が上擦る。

長い指先、昨日はまじまじと直視出来なかった浬は背も高く、なかなかの好青年。
同性なのにも関わらず、一瞬見惚れてしまった。

「何?…終わったよ。」

「あ…ハイ。」

「朝飯食べるだろ?時間ないから早くしろよ。」

浬は鞄を持ち、さっさと玄関に向かってしまう。

それを追い掛けて、藍もこれ以上足手まといにならないように急ぐが、浬が普通に歩くのと藍が歩くのとでは悲しいかな、脚の長さが違い、走ってやっとのことで追いついた。

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