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香蘭学園
8

一向に何も起こらない。目を開けるとガシャガシャ音を立て、浬が割れた破片を拾い集めていた。

「怪我はない?ないならいいけど。」

「ハイ…ないで…す。」

何もなかったかのように片され、不意に目が合うと、心臓がバクバクする。

「なら、…良かった。」

怒っている様子は微塵もない。それどころか気を使わせてしまって申し訳ないくらいだ。

「本当に初っ端から迷惑掛けてしまってスイマセン。」

「別に…。寝るなら風邪引くからベッドで寝ろよ。」

言葉数は少ないにしても、悪い人ではないと藍の中で認識していた。

今更だが、掛けられた毛布も彼が掛けてくれたのだろう。何となく彼の匂いがした。

初対面の同室者に気遣われ、素直に謝るとバツの悪そうにすごすごとまだ生活感の無い部屋へ入っていく。
開けていない段ボールもまだ転がったまま、今は手を付ける余力も余っていない。

備え付けのベッドはセミダブル。身体の小さい藍には十分過ぎる。

まだ慣れない場所というのと、さっき寝てしまったのも祟ってか、なかなか寝付けない。

備え付けのミニ冷蔵庫に入れておいたお茶を飲み干し、暫くドアの隙間から漏れる蛍光灯の光をぼんやりと眺めていると、いつのまにか睡魔が襲ってきいた。

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