香蘭学園
3
そんな毎日。
今まで明るい性格の藍でも精神的に情緒不安定になっていた。
それは見て取れるように、自傷行為に明け暮れる。
「ッ…。」
新たな傷痕が藍の腕に刻まれていく。
治っては再び傷つけの繰り返し。
ズキズキと痛む感覚は有るのに、今、生きている感触を確かめる為に自分の血を見ることで安心を求めていた。
頭の中では、このままではイケナイとわかりきってはいても、一度覚えてしまったものは癖になる。
元々痩せ気味で、背丈も大きいわけでもないの窶れきった藍の身体も心もボロボロに蝕ばむ。
エンドレスに続くかと思われた悪夢の日々に微かな日差しが差しかかっていた。
一通の手紙がポストに投函された。
蘭の花が型押しされた白い封筒。それは紛れも無く、私立香蘭学園への編入の通知だった。
私立香蘭学園と言えば、全寮制の男子校。
系列の大学も併設し、各財界の子息が集まることで有名だ。
その切符を手に、今の状況から抜け出せるならと、藁にも縋る思いで、後先も考えることもなく多少の迷いもあっても、直ぐに手続きを済ませていた。
ここでいるよりよっぽどいい。精神的にも肉体的にも、全く面識がない人達と居た方が気が楽だ。
僅かな荷物をまとめ、その日を待ち望んでいた。
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