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香蘭学園
20


叩き付けたヘッドホンからは絶え間無く音が漏れている。日狩は気にせず、そのまま階下へ下りていった。

「日狩、ちょっと。本当、進路どうするの?」

「あぁ?いいよ。どっか推薦でいけば。」

リビングでいつ、どこで取り寄せたのか色々な高校のパンフレットを広げ、母親が日狩を呼び寄せる。

「ここなんか制服可愛いし、どう?」

「…なんで俺がカワイイ制服着なきゃいけないんだよ。」

イライラしながらも、椅子に足を組んで仕方なく日狩がパラパラと目の前に置かれたパンフレットの山に目を通す。

「ここは日狩じゃ無理ね。男子校で、全寮だって。しかも募集が若干名だし。…あら、中学もあったのね。」

「は、マジ無理……男子校だろ?ムサイ奴らばっかじゃん。」

真っ白な蘭の花が校章、高級そうな厚手の上質紙のパンフレットを見て、日狩が目を疑った。

普段なら気にも留めないが、そこに写っている写真の制服には見覚えがある。

「……。」

「何よ?あら、どうしたの?」

それもそのはず。
中等部の制服はさっき見たばかり、朔夜が着ていた制服とよく似ている。いや、寸分違わず全く同じものだった。中等部と高等部では微々足る違いはあれど、ほぼ同じ。
淡い水色のシャツに紺のブレザー、モスグリーンのチェックパンツ。似たような制服はあっても、ここまで寸分違わぬ特徴に確信を持った。

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あきゅろす。
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